男の摂食障害の患者として


僕がはっきりと摂食障害を自分で認めた2003年のころには
まだ草食系なんて言葉はなかった。


肉食系女子なんてのも、もちろんなかった。










いまでこそ、男性も痩せるのがモテるんだよね!
なんていう考えが浸透しているけれど
その頃には、男性はガッチリしているべきだし強くあるべきだ、という通念が一般的だったと思う。




ヒョロとかルイージ、みたいな言われ方で。







だからこそ、余計に、痩せたくてダイエットしてたらいつの間にか
食べ物を吐くようになりました…なんてことは友達にはとてもじゃないが言えなかった。











今でも男性の摂食障害者は市民権を得ていません。



まだまだ、女性のものであると考えられているし
文献を読んでいても、殆どの症例は女性のものだし
生理やジェンダーの解説でも、極めて女性目線
で綴られているものばかりだ。










そんな僕が摂食障害を抱えている人と触れ合える?唯一の場所が
ミクシィだった。










そこには今なお苦しんでいる同士?がたくさん
辛い思いや自分の愚かさ、失った未来、食べてしまったものの記述など
悲痛な叫びを掲示板に記していた。







そこで思ったのは、嘆く場所があるってのは素晴らしいことだ









けれども、嘆いているばかりでは現状は変わらない。

もっと摂食障害に至るまでの自分を振り返って、
「何が摂食障害を呼びよせたのか」という自分の過去のつらい部分と向き合っていかなければ、快方には向かわないんだと、伝えたいと思ったからだ。




もしかしたら、何気ない日常で発症して何気なく消えていく辞令もあるのかもしれないが、長期に渡り患い悩んでいる人が多いところを見る、
知らないうちに居なくなるって確率は薄いみたい。






自分が少し回復してきた2012年の現在も
ミクシィでの摂食障害のコミュニティー人数は増え続け、日夜、
つらく苦しい現状が綴られている。



そんな、現状を嘆き、もう抜け出す道なんかないって
諦めている人に伝えたいんです。





道のりはつらいし、
痩せている自分ということも夢もいったんは捨てなければならないし
本当の自分と正面から向き合っていかなければならない。

おまけに
そこまで辛い思いをしてまで
治療したくなんかない、そんなに頑張る意味のある人生じゃないって
思っちゃうかもしれない。









だけれども、一つずつクリアしていけば、必ず良い方向に向かうって
そう伝えたい。







元来、摂食障害になる人は真面目でストイックで能力も高い。


だからこそ、自分の中にある自分像とか病気を引き起こした自分自身の心理などに正しい認識を新たに認知してしまえば、それに向かって一生懸命
継続していける力を持っているはずなのだ。






だから、あきらめるまえに
自分を見つめ直すという、まだ未着手な領域に
入っていってみよう。




そうすれば、摂食障害があなたに何を語りかけようとして
現れてくれたのか、という事が分かる日が来るに違いない。





摂食障害では失うことばかりですが、
失いながらも必ず何かを得ていたし、何かを教えてくれていた。











って思いながらやっていくしかない。








もちろん、起こらずに生きれればいいのだけど
起きてしまったので、もはやどうしようもない。




どうしようもない。という事を受け容れるところから
始まっていくのではないかと思う。