本音を吐き出せば、食べ物を吐き出さなくて済む


「話を聴いてもらえた」ことで爽快感を得れば良い

過食でも色々な症状があるし色んな治り方がある。
でも、共通して言えることは「自分の心の奥には、なにがひっかかってるのかな」ということをつきつめて考えて、それに気づいた人は治る扉を開けたのと同じことなんです。

それを一番信頼できる人に洗いざらい話せてわかってもらって、スカっとした気持ちなれた。
このとき過食はうそみたいにすーっと消えていくんですよ。

(過食・拒食の家族療法 福田俊一・増井昌美 ミネルヴァ書房








■「あれ、過食嘔吐してないんちがうかな!」

母親は夜中にいつも過食嘔吐する美香のことが心配で、
目が覚めてしまいました。
ある夜のこと、なぜかいつも明かりがついている台所が真っ暗でした。

美香の食べる音も聞こえてきません。
「あれ、なんで電気がついてないんやろ。まさか美香が過食してないなんて…」と、戸を開けて確めたい気持ちもありましたが、そのときは半信半疑の気持ちでした。


それから3日たって、また夜中に過食嘔吐していない日がありました。
「なんでだろう。きのうも一昨日も過食嘔吐していたのに。今夜と3日前の夜はしてないなんて」。

そこで考えてみて思い当たったことがあります。


「そうだ。夕方私が早く帰ってきて、美香の話をしっかり聴いてやれたからかも。うれしそうな顔して『ああ、すっきりした。お母さんありがとう、聞いてくれて』と言っていたことと関係があるかも」。


それから母親は意識して観察していました。

「やっぱりそうやわ。私が時間かけてしっかりと聴いてやれた日は過食嘔吐してないわ」と母親は嬉しい変化に気がついて、
さっそく次のカウンセリングで報告しました。

(母と子で克服できる摂食障害 過食症・拒食症からの解放 福田俊一/増井昌美 ミネルヴァ書房










患者がなぜ自己主張をしないのかという理由をよくよく見ていくと、基本的には人間と言うものについての知識の不足や偏りがあることがわかる。
もともとの心配性に加えて、生育過程で身近に居た人の影響が強いのだと思うが、自分の気持ちを話すとネガティブなことが起こる、という信念があるのだ。


実際、患者の周りには批判的な人、過保護な人、世間体ばかり気にしている人などを見つけることができる。
そういう人たちに囲まれて暮らしていると、自分の気持ちを話すことのプラスの可能性を知ることがなくても不思議は無い。

摂食障害の不安に向き合う 水島広子 岩崎学術出版社








過食・拒食の家族療法

過食・拒食の家族療法

母と子で克服できる摂食障害――過食症・拒食症からの解放

母と子で克服できる摂食障害――過食症・拒食症からの解放