他者を信じれないと自分が居なくなる
他人と出会うことは、自分と出会うことである。
他人と出会うことを面倒くさがったり恐れていたりするのは
実は真実の自分と出会う事を恐れて人なのだ。
たとえば、
「コミュニケーションが苦手だ」と思ってる人が
他人を避けるのは、相手を不快にさせてしまうかも…ということではなく、コミュニケーションをうまくできない”ダメな自分”な自分を知ってしまう事が最も恐ろしく感じる。
だから、自分を知ってしまわないように他人を避けるのだ。
他人を避けて自己愛的な世界で
何もかもうまく出来る自分ばかりを感じようとしている人は
現実の自分から逃げている人なのだ。
自分を現実と向き合うためには
自分の力だけでは難しく他人の力が必要だ。
他人と繋がる事を恐れない勇気。
精神的にも肉体的にも健康な自分である為に必要なのは
他人との関わりで出会ってしまう自分を恐れない事なのかもしれない。
☆
サリバンは言いました。
「人間は人間関係を失ったら、人間性そのものを失う」と。
事実、精神障害と呼ばれる人は、
みなさん人間関係の障害に苦しんでいます。
つまり、精神科医の治療の最終的なゴールは、
人間関係の再調整に他なりません。
質が良く水準の高い人間関係とは、
「自分から与えるものと他人から与えられものが
双方で等しく価値を持つような人間関係だ」
「思いやり」とは、
じつはワロンが言う「他者と共感できる感情」なのです。
他者の痛みが自分の痛みであり、
また他者の喜びが自分の喜びでもある。
つまり思いやりは、自分の喜びを幸せに感じてくれる大人に育てられることによって、
次第に子どもの中にも芽生えていくものなのです。
また、人間性とは、この共感性の上に育ちます。
他者と共感できる感情を持つことによって、
自分の存在や価値を実感することができます。
少し硬い言い方をすれば、他者と共感できる感情がなければ、
自分の存在意義を実感することができません。
他者と共感できるような経験を積めば積むほど、人間の自尊心が育ちます。
言い換えれば、「自分が見えてくる」ということです。
そうなれば、大人になってから自分探しなどする必要はありません。
大切なのは、自分の中に他者の存在をどのようにして取り込んでいくかということ
なのです。
他者がいるから、自己ができる。
自分にとってどのような役割を演じてくれる他人がいたのか。
同時に、相手にとって自分はどのような役割を担うことができるのか。
このように、他者との関係を率直に見つめながら、
健全な人間関係が築かれていくのです。
他者との共感ができなかった。
あるいは極めて不足したまま成長してしまった。
全ての人間関係の土台である
人生で最初に築かれるべき親との信頼関係、
「基本的信頼感」を持たずに育ってしまう。
その典型的な結末や不登校やひきこもりであり、
自分探しの為の様々な行動であり、あるいは拒食症や摂食障害、非行などを生んでいくのです。
☆
人間関係が孤立してしまった中でも
怒りや無力感が内に内に向かう子は
自分を傷つけ、やがて摂食障害を選んでしまう。
他者との関係に通して自分を把握するっていう機会を失ってしまった子は
摂食障害になってしまう。
摂食障害が「自己不在の病」と言われる所以は
まさにここにあるのだと思う。
そして、
彼らの著しい痩せ願望、肥満恐怖の背景には
親子関係、人間関係の歪みによって
成熟した生きるモデルが得られない事からくる
成熟拒否の心理も関わっています。
子どもは、ある時期までは
親そのものになりたいと思いながら育つところがある。
だから、そのモデルがなんだかうまく生きて居ないと
自分が大人になる事が不安なのだ。
幸せになれるイメージがない未来には進みたくないのは
当然だ。
モデルとなるべき両親が
「不幸せそう」であると、
自分自身の客観的イメージ(セルフイメージ)が悪くなり、
劣等感や自己嫌悪感を持つようになってしまうのだ。
自分に良いイメージを持つためには他者の存在が欠かせない。
他者とうまくやる為に必要な人間を基本的に信じる力は親から信じ共感してもらう事で
育まれていく。
つまり、信じる力も人間関係の土台も全ては親との関わりの中で
身に付けていくものなのだ。
☆
自分を理解するには他人の存在が不可欠。
だけど、他人と繋がるにはまず親との温かい信頼関係が
土台として備わっていなければならない。
自分を見失わないためにも
摂食障害を治すためにも
他人を信頼し、相互理解を深める努力は
とても大切な事なのかもしれない。
たとえカラッポな自分であったとしても
そういう自分と出会うことを恐れないで向き合っていく。
そこから、道が開けていくかもしれない。
自分が何で苦しんでいるのかを把握する事から問題解決は始まる。
解決すべきものが分からない、課題を把握する事から逃げていては
長期化するだけなのだ。
参考文献:
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