【書籍紹介】摂食障害の発症意義を理解するために
◇摂食障害発現の意味を理解するために
ネットで摂食障害を検索すると、
「摂食障害という病気の病状説明」「あるいは原因」「なりやすい性格」などはヒットするが、具体的に抱えてしまった病状とどう向き合うのかということはあまり書かれていない。
あるいは、摂食障害関連の本には「それができたら苦労しないよ。出来ないから困ってるし病気なんだよ」と思ってしまう正論ばかりが書かれている書籍も沢山あって、げんなりする。
または、「家族との関係が…」「愛情不足です」「規則正しく生活しましょう」などなど、「たしかにそういうこともあるでしょう。じゃあ、それを克服するためにどうすればいいの?」という具体的に取り組むと良い方策も、なかなか書かれていない。
しかし、そんな中、このエントリでは
具体的な改善策が盛り込んである書籍を厳選してみました。
原因を見つけ出して「私の分析力、すごいだろ!」みたいな著者の自己満足のためじゃなく実際に治療に役立つことが豊富に書かれているんじゃないかな?と思っています。
※私は薬で摂食障害が治るとは思っていません。
SSRIとか食欲増進剤とかは補助程度であって、「医者に摂食障害は治せない」というのが大前提に合ってこれらの書籍を選びました。
(漢方薬は肯定的)
■導入編
- 作者: 水島広子
- 出版社/メーカー: 日東書院本社
- 発売日: 2009/12/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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拒食、過食、過食嘔吐が邪魔な存在ではない理由が書かれている。
味方とまでは言わないものの拒食過食嘔吐は憎むべき存在として扱わない方が生産的な付き合い方が出来るのだと私は納得させられた。
A4サイズで読みやすい。
■主に過食・過食嘔吐
- 作者: 水島広子
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2007/10/01
- メディア: 単行本
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拒食症の事も書かれているがメインは過食(嘔吐)。
過食と対人関係(≒コミュニケーション)の関連性が書かれている。
コミュニケーション分析の部分だけでも読む価値あり。
「重要な他者とのコミュニケーションがうまくいかない」ことが過食の増悪につながっていることを理解でき、実践に繋げることのできる一冊。
- 作者: 福田俊一,増井昌美
- 出版社/メーカー: ミネルヴァ書房
- 発売日: 2011/01/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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こちらも、過食症がメイン。
家族(主に母親)とのコミュニケーションの不一致が過食の増悪にどう影響しているのかが具体的な症例の経過として描かれている。
拒食症の患者とその両親と主治医で開かれるランチミーティングで、健常者と拒食症者の「食べること」の捉え方の描写は勉強になる。
■主に拒食
- 作者: 高橋和巳
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2003/02
- メディア: 単行本
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6章くらいに別れていて、拒食症の症例は2章分だけ。
だけど、「食べないと死にそうな体重なのに食べてくれない」と心配でたまらない両親には大いにヒントになる内容になっている。
ただ、中高生の娘さんの話なので、成人の娘さんのケースには適応できないかもしれない。
- 作者: 小野瀬健人
- 出版社/メーカー: 主婦と生活社
- 発売日: 2003/10
- メディア: 単行本
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「心の傷」と摂食障害との関連性が中心題材。
「痩せること」によって母親に認めてもらいたい、あるいは「痩せる」という非言語コミュニケーションを採用するようになった経緯などが実体験として描かれている。
■痩せることへの執着
「見た目」が気になる!症候群(シンドローム)―他人にどう思われるか、とても気になる心から自由になれる本
- 作者: 水島広子
- 出版社/メーカー: 主婦と生活社
- 発売日: 2012/06
- メディア: 単行本
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体型という見た目。いい人という見た目。
なぜ、「外面での評価だけで自分の全てが決まってしまうと考えてしまうのか」ということが「自分の問題」「相手の問題」という視点で書かれている。
「外見が気になる人はリアルな人間関係が乏しい」という部分は衝撃w
- 作者: 水島広子,matsu
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/07/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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体型を保つ事で「コントロール感覚」を得ようとしている、というのが主題。
なぜ、「体型体重を強烈に気にせずにはいられないのか」という問いを「コントロール感覚」という言葉に集約して語ってくれている。
■過食嘔吐・拒食の身体への負担の理解
思春期に多いダイエット障害―ストレスとやせ願望の奥にひそむ、摂食障害という心の病 (写真を見ながら学べるビジュアル版新 体と健康シリーズ)
- 作者: 鈴木真理
- 出版社/メーカー: 少年写真新聞社
- 発売日: 2005/07/01
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最新版 拒食症・過食症の治し方がわかる本 (こころの健康シリーズ)
- 作者: 高木洲一郎,浜中禎子
- 出版社/メーカー: 主婦と生活社
- 発売日: 2011/07/22
- メディア: 単行本
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2冊とも、摂食障害の身体面へのケア、そして、日常生活の中で家族として過食や拒食をする子どもにどういう対応をすればいいのかが書かれている。
生理や齲蝕(虫歯)の話も書かれています。
■食事からのアプローチ
- 作者: 矢崎智子
- 出版社/メーカー: 東京書籍
- 発売日: 2008/08/08
- メディア: 単行本
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過食を「血糖値の乱れ」という視点で書かれている。
脳の仕組みや栄養学の見地から、過食が起きる仕組みを解説してくれている。
「過食するのは、決まってジャンクフードですよね?」とは、まったくその通りで、ジャンクフードは過食を招くらしいですw
- 作者: P.J.クーパー,西園文,生野照子,Peter J. Cooper
- 出版社/メーカー: 女子栄養大学出版部
- 発売日: 1997/01
- メディア: 単行本
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心理面には触れつつも、メインは食事療法。
正しい食事を6ヶ月続けることで過食衝動をなくしていける方法が具体的に提示されている。
■リストカットも持っている人へ
- 作者: 川田文子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2004/07/25
- メディア: 単行本
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“消えたい”症候群―リストカットとオーバードーズ 生への処方箋を考える
- 作者: 山本紀子
- 出版社/メーカー: 教育史料出版会
- 発売日: 2006/05/01
- メディア: 単行本
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自分と登場人物に共通点と共感を覚えるかもしれない。
同じ苦しみと同じ育ってきた環境を見出すことが出来るかもしれない。
共感を得たいときには助けになる。
■克服した人たちが心がけたこと
- 作者: 中村英代
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2011/10/01
- メディア: 単行本
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社会学の見地から、摂食障害を卒業した人たちにインタビューをして”回復方法”を聞き出している。
ちょっと学問的な要素が前半は多いが、後半からは実際に克服した人たちの”回復の経緯”みたいなものが書いてあって希望をもらえる。
■家族病理
母を恋して太る人、彼を愛してやせる人?「3日後日記」でダイエットに成功する!
- 作者: 岩月謙司
- 出版社/メーカー: マキノ出版
- 発売日: 2003/06/17
- メディア: 単行本
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- 作者: 星野仁彦,夏目祭子
- 出版社/メーカー: ヴォイス
- 発売日: 2008/03/25
- メディア: 単行本
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- 作者: クレイグ・ナッケン,玉置悟
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/02/21
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主に幼少期に起因する虚しさを埋めるための手段として依存症を利用しているんだ、ということが書かれている。
(痩せることへの依存、食べることへの依存、と考えると摂食障害も依存の一種として考えられる)
依存物(ここでは摂食障害)を手放すためには、人間関係の充実が必須という考え方は共通している。