【書籍紹介】摂食障害の発症意義を理解するために

摂食障害発現の意味を理解するために

ネットで摂食障害を検索すると、
摂食障害という病気の病状説明」「あるいは原因」「なりやすい性格」などはヒットするが、具体的に抱えてしまった病状とどう向き合うのかということはあまり書かれていない。


あるいは、摂食障害関連の本には「それができたら苦労しないよ。出来ないから困ってるし病気なんだよ」と思ってしまう正論ばかりが書かれている書籍も沢山あって、げんなりする。


または、「家族との関係が…」「愛情不足です」「規則正しく生活しましょう」などなど、「たしかにそういうこともあるでしょう。じゃあ、それを克服するためにどうすればいいの?」という具体的に取り組むと良い方策も、なかなか書かれていない。




しかし、そんな中、このエントリでは
具体的な改善策が盛り込んである書籍を厳選してみました。



原因を見つけ出して「私の分析力、すごいだろ!」みたいな著者の自己満足のためじゃなく実際に治療に役立つことが豊富に書かれているんじゃないかな?と思っています。




















※私は薬で摂食障害が治るとは思っていません。
SSRIとか食欲増進剤とかは補助程度であって、「医者に摂食障害は治せない」というのが大前提に合ってこれらの書籍を選びました。
(漢方薬は肯定的)




















■導入編

焦らなくてもいい!拒食症・過食症の正しい治し方と知識

焦らなくてもいい!拒食症・過食症の正しい治し方と知識


拒食、過食、過食嘔吐が邪魔な存在ではない理由が書かれている。
味方とまでは言わないものの拒食過食嘔吐は憎むべき存在として扱わない方が生産的な付き合い方が出来るのだと私は納得させられた。

A4サイズで読みやすい。



■主に過食・過食嘔吐

拒食症・過食症を対人関係療法で治す

拒食症・過食症を対人関係療法で治す

拒食症の事も書かれているがメインは過食(嘔吐)。
過食と対人関係(≒コミュニケーション)の関連性が書かれている。

コミュニケーション分析の部分だけでも読む価値あり。
「重要な他者とのコミュニケーションがうまくいかない」ことが過食の増悪につながっていることを理解でき、実践に繋げることのできる一冊。








母と子で克服できる摂食障害――過食症・拒食症からの解放

母と子で克服できる摂食障害――過食症・拒食症からの解放

こちらも、過食症がメイン。
家族(主に母親)とのコミュニケーションの不一致が過食の増悪にどう影響しているのかが具体的な症例の経過として描かれている。

拒食症の患者とその両親と主治医で開かれるランチミーティングで、健常者と拒食症者の「食べること」の捉え方の描写は勉強になる。











■主に拒食


6章くらいに別れていて、拒食症の症例は2章分だけ。
だけど、「食べないと死にそうな体重なのに食べてくれない」と心配でたまらない両親には大いにヒントになる内容になっている。

ただ、中高生の娘さんの話なので、成人の娘さんのケースには適応できないかもしれない。




「食べない心」と「吐く心」―摂食障害から立ち直る女性たち

「食べない心」と「吐く心」―摂食障害から立ち直る女性たち


「心の傷」と摂食障害との関連性が中心題材。
「痩せること」によって母親に認めてもらいたい、あるいは「痩せる」という非言語コミュニケーションを採用するようになった経緯などが実体験として描かれている。






■痩せることへの執着



体型という見た目。いい人という見た目。
なぜ、「外面での評価だけで自分の全てが決まってしまうと考えてしまうのか」ということが「自分の問題」「相手の問題」という視点で書かれている。

「外見が気になる人はリアルな人間関係が乏しい」という部分は衝撃w










ダイエット依存症 (こころライブラリー)

ダイエット依存症 (こころライブラリー)

体型を保つ事で「コントロール感覚」を得ようとしている、というのが主題。
なぜ、「体型体重を強烈に気にせずにはいられないのか」という問いを「コントロール感覚」という言葉に集約して語ってくれている。








過食嘔吐・拒食の身体への負担の理解

最新版 拒食症・過食症の治し方がわかる本 (こころの健康シリーズ)

最新版 拒食症・過食症の治し方がわかる本 (こころの健康シリーズ)

 

2冊とも、摂食障害の身体面へのケア、そして、日常生活の中で家族として過食や拒食をする子どもにどういう対応をすればいいのかが書かれている。


生理や齲蝕(虫歯)の話も書かれています。







■食事からのアプローチ

なぜあなたは食べすぎてしまうのか―低血糖症という病

なぜあなたは食べすぎてしまうのか―低血糖症という病


過食を「血糖値の乱れ」という視点で書かれている。
脳の仕組みや栄養学の見地から、過食が起きる仕組みを解説してくれている。

「過食するのは、決まってジャンクフードですよね?」とは、まったくその通りで、ジャンクフードは過食を招くらしいですw


過食症からの脱出―自分で治す実践ガイド

過食症からの脱出―自分で治す実践ガイド

心理面には触れつつも、メインは食事療法。
正しい食事を6ヶ月続けることで過食衝動をなくしていける方法が具体的に提示されている。







リストカットも持っている人へ

自傷

自傷

“消えたい”症候群―リストカットとオーバードーズ 生への処方箋を考える

“消えたい”症候群―リストカットとオーバードーズ 生への処方箋を考える


自分と登場人物に共通点と共感を覚えるかもしれない。
同じ苦しみと同じ育ってきた環境を見出すことが出来るかもしれない。

共感を得たいときには助けになる。






■克服した人たちが心がけたこと


摂食障害の語り―「回復」の臨床社会学

摂食障害の語り―「回復」の臨床社会学



社会学の見地から、摂食障害を卒業した人たちにインタビューをして”回復方法”を聞き出している。

ちょっと学問的な要素が前半は多いが、後半からは実際に克服した人たちの”回復の経緯”みたいなものが書いてあって希望をもらえる。






■家族病理

依存症の真相―アダルトチルドレンとADHDの二重奏

依存症の真相―アダルトチルドレンとADHDの二重奏

「やめられない心」依存症の正体

「やめられない心」依存症の正体


主に幼少期に起因する虚しさを埋めるための手段として依存症を利用しているんだ、ということが書かれている。
(痩せることへの依存、食べることへの依存、と考えると摂食障害も依存の一種として考えられる)

依存物(ここでは摂食障害)を手放すためには、人間関係の充実が必須という考え方は共通している。