痩せるのが目的のダイエットをするのが摂食障害。細くなって何がしたいっていうのはない。


過食を伴う拒食症の患者さんはダイエットに成功して痩せて来ると
派手な化粧や服装になったり自分の痩せた身体を誇示するような外見になったりします。


一方、過食を伴わない拒食症では痩せても保守的な外見を崩さず、
むしろ自分の痩せた身体を隠すような服装をすることが多いようです。
痩せて流行の洋服が着られるようになりたいという願望よりも、
太るのが怖い、という恐怖に支配されている印象を受けます。






このような痩せたい気持ちは、
女性は痩せているほうが美しいという画一的価値観に基づくものとは質的に異なると考えたほうが良いでしょう。




■痩せるから、さらに痩せたくなる




「空腹感に耐えてる自分が嬉しかったし
 何よりも自分をコントロールできているなどと充実した
 気になっていたのを覚えています」




この語りからわかりるのは
この人のダイエット(外から見ればダイエット)は
痩せる事じゃなくて自分に勝っている事が目的なのだ。



痩せたいからダイエットを始めたのではない。
痩せ願望はダイエットを開始する「理由」ではなく、
むしろダイエット後についてくる「結果」なのだ。




簡単なダイエットが成功すると、もっと痩せたくなる。
つまり、痩せたい気持ちは痩せることに成功することで起こって来る。
この気持ちが拒食へと走らせる。


ダイエット依存性にはまりこんでいくと、数字とか痩せていることが全てになり
見た目とか異性へのアピールとか関係なくなる。



正常のダイエットは、ダイエットの先に目的がある。
服が着たい、異性の気を惹きたい、モテたい、など。



しかし、拒食症を中心とした摂食障害に置いては
痩せたことを外へ発信しようという意図がかなり弱い。




最初は、そういう思いもあったのかもしれない。
ただ、ダイエットにだんだんと、







■自尊心はダイエットを始めてから急降下していく




さらに、
体重は自分の精神力でコントロールできるものだと思っていた。
だから、思い通りに痩せられない場合、「自分がダメ」だという自責感がまれる。



ダイエットが成功している期間は
体重は意志の力でコントロールできる対象であった。


けれども、思い通りに食欲をコントロールできるのは一時で、
次第に痩せにくくなり、
過食衝動に教われるようにもなる。




しかし、彼女達は相変わらず、体重は意志の力でコントロールできるものだと思い続ける。


その結果として、痩せられないことや過食の衝動は、
彼女達には、身体の自然な反応としてではなく、
自分の意志の弱さとして受け止められている。


ダイエットの失敗が自尊心を低下させているのだ。