身体への影響

水島広子過食症・拒食症を対人関係療法で治す)参考引用

拒食症・過食症を対人関係療法で治す

拒食症・過食症を対人関係療法で治す


■生理と骨密度



ある一定の体重まで痩せてしまうと
生理がこなくなることも重大な問題です。



生理がこないというと真っ先に心配になるのが将来子供が作れなくなるのではないだろうかということですが、
この点については体重が回復し、然るべき産婦人科的治療を受けていれば取り戻すことができるといわれています。


生理がこなくなることのもっとも重大な問題は骨です。
骨は女性ホルモンによって強められています。
女性が年をとると骨粗しょう症になりやすいのは閉経前後から女性ホルモンが減少することが大きな原因です。


拒食症で生理がなくなっても同じようなことが起こります。
女性ホルモンの減少をはじめとするホルモンバランスの異常のために骨密度が低下し骨折しやすくなります。


骨の問題だけは体重が回復したからといってすぐに回復するというわけにはいきません。



大まかな目安として一度、生理のない状態が一年以上続いてしまうと、骨への影響は長期に及びます。


拒食症が治って前向きに生きて意向と思った頃に影響が出て後悔することのないようにしたいです。



なお拒食症の場合、体重が少ないうちは、
いくら女性ホルモンを投与して人工的に生理を起こしても
骨には効果が無いことがわかっていますので体重が少なくても生理さえあれば、という考え方も通用しません。


成長期に拒食症になった人の場合、事態はもっと深刻です。


骨が育つ、身長が伸びるべき時期に拒食症になってしまうと成長そのものが止まってしまうからです。







そのほかにも





・脳が萎縮する
コレステロール値が高まる
・肝臓の機能が低下する、など



痩せることによる身体面の問題はたくさんあります。








過食症でも身体面の問題はいろいろあります。
嘔吐や下剤濫用によって血液中の電解質バランスが崩れます。
嘔吐のために歯が悪くなるのも問題
です。





過食嘔吐を伴う人の場合には嘔吐や下剤濫用によって血液中の電解質のバランスが崩れますので心臓に直接影響を与え、突然死の危険性がさらに高くなります。












☆☆












過食症からの脱出/西園)参考引用


過食症からの脱出―自分で治す実践ガイド

過食症からの脱出―自分で治す実践ガイド



電解質のアンバランス

人間の身体にはNa、kなどの電解質がたくさん入っています。
過食症の場合問題になるのはカリウムです。
胃液の中にはカリウムが入っていて嘔吐するとこれが抜けてしまいます。
目に見えるわけではないので知らずに吐いていたことになります。



カリウムという生命線




カリウム腸液の中にも多く、下剤を多量に使って水分の多い便が出た場合もたくさん失われます。
もちろん食中毒などで嘔吐や下痢をしてもカリウムは失われるのですが、
このときカリウムが少なくなって困ったという話は聞くことはありません。



これは嘔吐や下痢が短時間であり一時的にカリウムが失われても身体の中に蓄えられたカリウムを使うことができるし
症状が回復して普通の食事に戻れば食事からもカリウムがを摂ることができるからです。



過食症の場合には嘔吐が習慣的になっていることが問題なのです。


食事も偏っているので、そもそも身体の中のカリウムに蓄えが少ない状況で激しい嘔吐や下痢を自分で起こしたり、
あるおはたまたま食中毒にかかってしまったりするとかなり深刻な低カリウムになることが予想されます。




それではカリウムが減ると、どういう不都合が起きるのでしょうか。
一番の問題は心臓がカリウムの増減にかなり過敏に反応するということです。カリウムが少なくなると不整脈になったり心臓が止まったりするのです。


過食症の経過中に急死するほとんど自分では気づかないうちにカリウムが減ってしまいたケースだと考えられています。


人間の身体にはかなり順応性があってカリウムが徐々に減っていった場合、自覚症状は全く無いことがあるので恐ろしいのです。


カリウムは神経の働きにも影響を及ぼすので
手足がしびれるとか突っ張るといった自覚症状がでることもあります。


カリウムが減ったらカリウム剤を飲めばよいように思うかもしれませんが
急にカリウムが増えすぎるのも心臓には大変危険です。


野菜や果物から持続的定期的摂取が望ましいでしょう。










■慢性の栄養失調の影響について


これは体重の程度によってだいぶ違ってきます。人間が痩せるときは、
まず脂肪組織から使い果たすので体重が極めて軽いという人は脂肪組織が少なくなっています。


人間の体温は普通、まわりの空気の温度より高く、放っておけば、どんどん熱を拡散します。


普通は脂肪組織に断熱効果があり適切なエネルギーの食べ物を摂取することによって36度以上の体温を保っています。


過食プラス拒食の症状が強く体重が軽い場合、
体温はたいてい普通の人より低い
のです。




これは熱がどんどん奪われるということもありますが身体に入ってくるエネルギーがあまりにも低いので無駄な熱エネルギーを使わない方向へ身体がセットさせてると考えることも出来ます。



言うならば冬眠中の動物のような状態になっているということです。
冬眠中の動物は食べ物を食べないのでできるだけ低エネルギーですごそうとし、体温も脈もゆっくりです。拒食状態の患者さんも低体重低体温低血圧除脈と、なんでも低がつくような状態にするよう、ある種の防衛機能が働いているものと思われる。ただ拒食の人は冬眠する身体の状態で元気に動き回るので当然ダメージは大きく過活動がしばらく続くとかなり衰弱してきます。



こうなると夜更かしするとか風をひくといった、ちょっとしたきっかけで、またストンと体重が落ちやすいので十分留意しなければならない。