食欲という本能を否定しない


■コントロール願望としての摂食障害




依存症になる人は優秀で真面目な人が多い。



努力や頑張りによって過程も結果も
思い通りにコントロールしたい人が多い。


思い通りになる実力と
思い通りになる領域でなら
コントロールするために、
コントロールできる自分になろうとする努力の
モチベーションになるだろう。




ただ、人間のコントロールが及ばない領域というのは
必ず存在する。


この過剰なコントロール意識によって
自分でコントロールしきれないであろう要素まで
コントロールしようとしてしまったら、
強烈なシッペ返しを食らってしまいかねない。





■コントロールできない自分に自尊心が低下していく


コントロールできると思っているからこそ
出来ない自分への嫌悪感が強まり、ストレスが蓄積されていく。

そして、自分への嫌悪感、ストレスが蓄積されていく。


そして、食べ物依存症である摂食障害においても
強烈なコントロール願望が垣間見れる。


体重とか食欲とか食べる量とか
本能的な欲求を頭(自分の意志)によって全てコントロールできると
思ってしまう。




ある時まではコントロール(節食、拒食)がうまくいって
コントロールできている自分に満足する。
コントロールがうまくいっていれば体重もコントロールできるだろうから
さらに満足する。


ただ、食欲という本能までも
コントロールしようとすると、
その反動で過食が起こってしましまう。




痩せたいというダイエット願望は自尊心の低下から生まれるものだとされているが、
何気なく始めたダイエットによってコントロール願望が刺激され、
コントロールできなくなったことによって自尊心が低下してしまうという
通説と間逆の現象が起きるケースもあるのだ。



コントロールできる=誇らしい自分


であれば、


コントロールできない=ダメな自分


という図式が成り立ってしまい、
普通の自尊心を保っていた人でも
ふとしたキッカケで、ちょっと体重をコントロールしようとしたところから
自尊心の低下が始まり、体重を管理している間に食欲に異常を来たし、
摂食障害に溺れてしまう事があるのだ。









■食欲に逆らおうとすると摂食障害が固定化する






人間にとってエネルギーが枯渇する飢餓状態というのは
耐えられない。


ダイエットしようと努力すれば、
その意思は摂食中枢がある視床下部との勝利無き戦いを
繰り返してしまう。




頭によってコントロールしている間に
足りなくなったエネルギーを身体が補うための過食が起きてくる。
(これを過食と呼んでしまうのはどうなのだろう?
 エネルギーや栄養を補わなきゃいけないという生命を保存していこう
とする人間として極めて自然で重要な行為〔過食〕なのではないだろう
か)









この過食は、飢えによって適切な健康体重以下に落としたことに対する脳にある視床下部の反乱である。


視床下部には摂食中枢と満腹中枢があり、
食欲をコントロールしている。
ダイエットを強く続けた後は
普通にたべるようになっても、
視床下部は飢餓状態がやがて再来するだろうと恐れる。


食べても食べても視床下部は摂食中枢を刺激して、
空腹感を与える。


肉体的に満足しても
視床下部は安心できないので、
食べ続けてしまう。

いつ食糧難が襲ってくるか、
脳が心配しているからだ。







支配を諦める事で、過食症からの回復が始まる。
つまり、食べる量を制限しないことが大切だ。



食べたいときにはたっぷりと食べて、
食欲がなければ少量にしておく。
健康な人の食事への態度と同じだ。
視床下部と共存することで、
過食から解放されるだろう。






■食事は生きるエネルギー





人が生きるために必要なエネルギーは二つある。
一つはカロリー。食べ物から頂くもの
もう一つは精神的なもの。人からもらうもの。


人と関わりの中で得られるはずのエネルギーが不足しているとしたら
食べ物をいつもより多く摂取して自分を保とうとするのは
当然の防衛機能だと考えられなくはないだろうか。



だとしたら、バランスを取ろうとする自分を邪魔しようとしたら
自分のバランスは崩れていくのは当然。



だから、食べたい自分を否定してはいけないのだと思う。








■まとめ





・心の問題は脇に置いて食欲の正常化に務めるべき!






痩せているとか痩せて居ないっていう願望と
食欲を正常にするっていう事を
別に考えた方がいいのかも。



つまり、心の枯渇が過食を生み出すという考え方を捨てて
まずは食欲を正常にする訓練をする。


なぜ痩せたいのか?心が満たされて居ないのか??っていう疑問は
ひとまず置いておく。




心の問題があったかもしれないし
言いようの無い寂しさを抱えているのかも知れない。


それでもまず、
食欲が異常になっている、という間違いない現実を受け容れて
是正していく事が大切なのではないだろうか。


生きるエネルギーを欲している自分を
否定してはいけないのだと思う。