痩せる事には捨てがたい報酬がある。

:「何でもできる」と「優越感」




小さな自殺とも言われる拒食にハマっていく人が
自分を削りながらも抜け出せないっていうのは
リスクを受け容れて有り余るメリットがあるのではないかと推測される。






痩せる、痩せている自分、
これらを保つっていうのは
達成感と優越感っていう他では得がたい
報酬があるのだと思う。





だから、
みんなが求めるし、ちょっとでも痩せる事に成功してしまったら
どんどんハマっていってしまい、最悪の場合、
摂食障害に陥る。


この可能性は何も心に問題がある人や育ちが
未熟な人ばかりではないだろう。



何かを思い通りにしているという感覚は
現実を知れば知るほどに大きくなっていく。

それは大人になっていくと言う事でもあるのだが、
自分の思い通りになる場所が欲しいと思うのは
いくつになっても代わらないだろう。


なぜなら、人間は常には、より自由な自分を求め生きるからだ。







ある人はゲームの世界の中で自由を感じるかもしれない。
ある人は小説の中の人物に自分を投影して世界を旅しているかもしれない。





そしてある人は、
体重をコントロールすることで満足感を味わうかもしれない。




現実世界で自分が支配できる要素で最も手軽で即効性があるのは
体重なのではないかと思う。










若い人は誰もが将来への不安を抱えています。
様々な不安を抱えている思春期の子どもは自分に対する疑問や自信のなさから救ってくれ、
自分を支えてくれるものを強く求めています。


その大きな自信を与えてくれる要素が
「痩せている自分」とことなのだろう。



なぜ、痩せる事が選ばれるかといえば、
お金も地位も友人関係も学力も何も関係ない。
若くて財力も権力もなくても、我慢一つでどうにかなる要素というのは
体重、つまり「痩せる」こと以外には存在しないのだ。


若ければ若いほどに、だ。















ダイエットについて、1人の女性患者に話を聴くと、
(一般の人からしたら)意外な答えが返ってきます。



体重が減っていくときのことを、
「食べないで我慢することがとても苦しかった」言う人はいません。


逆に「すごく充実していた時期だった」と多くの患者は語ります。



体重が次第に減って、
自分がスリムな身体に返信していく体験は、
特別の満足感と充実感を患者に与えるようです。










スリムになりたいという欲求は現代女性の多くに共有されています。
肥満体より、細い身体の方が美しいという考え方が支配的な現代において
積極的、意欲的に節食を行うダイエットが若い女性の間で大きな広がりを見せています。

細くなりたい、スリムな身体になりたいという気持ちを表現しても
それは特異な考え方とはみなされません。





ゼルベは女性が痩せを追求する大きな理由の一つに自尊心を挙げています。


「女性が、体型についての社会的風潮に従おうとするのは、
 そのことによって自尊心を保つことができるから」
であるとゼルベは指摘しています。


特に自尊心が傷つきやすい人たちにとっては
「少なくとも自分の身体だけは誇りに出来る」と思えることは重要なのです。


ダイエットは自尊心を保つために有効な手段であり、
しかも自分の努力次第で明確な結果を得られる手段とみなされています。