身体は自分の所有物だから思い通りになる!?







「心と身体を分離させ、体型体重をコントロールしようとする」




この強烈な自己コントロールに対する妄想が
摂食障害を生み出し、助長しているのかもしれない。






















摂食障害の背景は間違ったダイエット情報、そして
強烈な自己コントロール願望
がある。



食べたら太る、痩せるには食べてはいけない、という首から下の
肉体の体重増減に囚われている痩身の考え方です。



この間違った考え方に若い女性が痩せることに脅迫され惑わされ、
そしてアイデンティティを失いかけているのです。
すなわち、過食して心を苛め、拒食によって体をいためる、この行為は、
「精神的な自己」と「身体的な自己」の分離を意味しています。







頭の命令、つまり意志の力で身体を思い通りにコントロールしていきたいと願い、そして本当に絶対に思い通りになるんだっていう幻想に縛られてしまうのが摂食障害なのかもしれない。




食べる量にしても体重にしても痩せている事にしても、
身体は自分の所有物であるから、自分の理想どおり
になるはずだっていう
万能感に縛られてしまっている。





痩せるための(間違った)知識によって、自分の思い通りに操っていけると思っている思考を改める事も摂食障害を直す仮定では重要なのではないだろうか。







強いと思っている人間は本当は弱いんじゃないだろか。
自分を強いと思っていることが、
何でも思い通りにできると思っていることが、
人間を弱くしてしまうのではないだろうか。





















☆☆




(クスリに頼らなくてもウツは治る/作者: 泉谷閑示
メーカー/出版社: ダイヤモンド社
参考引用


クスリに頼らなくても「うつ」は治る

クスリに頼らなくても「うつ」は治る





:「頭」の圧政から解放されたい衝動



「自分自身のことを認められない」状態とは
「頭(理性)」が「あるべき自分」を勝手に設定し、
その基準や条件を満たしていない「実際の自分(心=身体)」を嫌悪してしまっているのです。
そのために、普段はコントロールされる側の「心=身体」は
持続的にかなりの無理を強いられています。


そして、その無理がある程度以上に蓄積されると、
自傷や過食の衝動が突き上げてくるようになるのです。


つまり
「心=身体」側が、「頭」によって強いられ生じた歪みをリセットしようとするのが、自傷行為や過食なのです。


自傷行為や過食を行うことによって「自分が自分でなくなっている」といった離人状態が少し改善する、という話をよくクライエントから伺う機会があります。




「頭」が強力に自己コントロールをかけている状態においては、
頭と心の間のフタが閉じられているために「頭」と「心=身体」は
断絶してしまって感情や感覚も感じられにくくなるので、人は離人状態に陥ってしまいます。


これが自傷による痛みや出血、過食嘔吐などによって存在が呼び覚まされて離人状態が軽減するのだと考えられます。









☆☆




摂食障害の理解と対応 現代の思春期女性/井上洋一/心の医学新書)参考引用

摂食障害の理解と対応―現代の思春期女性 (心の医学新書)

摂食障害の理解と対応―現代の思春期女性 (心の医学新書)





摂食障害では、一見身体に注目が集まっているようですが、
摂食障害において注目を集めているのは外観としての身体、精神の容器としての身体でした。




摂食障害の患者は
身体を精神的満足を得るための手段と見なしてきました。



しかし身体は
精神が命令することに従うだけのシステムなのでしょうか。


身体もまた生きる主体として存在しているのではないでしょうか。
身体は決して精神に従属するものではありません。


身体は独自の統合性を持った自立システムです。
精神に対する独立性を保ち、個性を持っています。
「身体」を支配しようとした「精神」が、身体から手痛いしっぺ返しに
逢っているのが摂食障害なのです。






現代の病として現れている摂食障害は、
生きる主体としての身体の存在を私達に教えてくれます。




身体の主体性を尊重することが重要であることを
摂食障害は私達に警告しているように思います。