過剰なコントロール願望がストレスとなり摂食障害を呼ぶ。



人の悩みって実は
たった一つだけなのだ、実は。







「自分の思い通りにならない」



この事だけ。















依存症になる人は優秀で真面目な人が多い。


努力や頑張りによって過程も結果も
思い通りにコントロールしたい人が多い。



この過剰なコントロール意識によって
自分でコントロールしきれないであろう要素まで
コントロールしようとするから傷つくし、
コントロールできると思っているのに、そうはできない自分を追い込んでしまう。



そして、そんな自分への嫌悪感、ストレスが蓄積されていく。






こう考えていくと、
依存症になる人は結局、
ストレスとの付き合い方が下手。
ストレスをうまく処理する対処法が
身に付いていなかったり、限られているのだ
















もちろん、本人が全て悪いわけではない。




大人から快適な環境を与えられて痛みという現実を体験せずに育ってきたことによる万能感から脱出できなかったり、過剰な自己愛を持ちすぎていて、現実はコントロールできない要素で成り立っているって事を
理解する機会や教えてもらう事ができなかったという
養育環境も背景として考えられる。






だから、一概に本人だけを責めるのは違っている。



大切なのはきっと、
ストレス発散が下手な自分を認めて、
下手さをどう改善していこうかって思えるようになる事だと思う。




そこから、本当のツラさが始まるわけだけど…。
















そして摂食障害の病理の核である
”体型・体重を思い通りに「コントロール」したい”っていうのも
思い通りにならないから悩み苦しむ。





体型とか食欲とか
ほぼ不変であって劇的な変化をさせるのは難しい事であっても
努力でどうにかしようとする。




今の自分を受け容れられない、
満足できない、愛されるわけが無いっていう思いを
痩せる事で解消しようとする。










人は、他人から[こう見られている」と思われる自分を
自分のイメージとして捉えてしまう傾向がある。
客観視した自分を自分の姿だと思いこんでしまう。





かわいいといわれ続けた子は自分の容姿を肯定的に捉えるでしょうし


「容姿が劣るから、手に職つけないと」
「女にとって容姿は第一だから、残念だよねー」

などと言われた場合、いつの間にか容姿に劣等感を抱くようになる
可能性が高いのです。








親から言い渡されたイメージを自分に取り込んで仮想現実の中で、自分は何でも出来るという「自己万能感」や「自己愛」が肥大化していき、現実社会ではうまくできない、というギャップに苦しむようになる。





今の自分では理想とあまりに乖離していて
なんとかコントロールして
理想に近づこうとする。



そういう意味では摂食障害
「ありのままの自分が許せない症候群」とも言えるかもしれない。





















「あるがままの現状の自分を認められない」状態とは
「頭(理性)」が「あるべき自分」を勝手に設定し、
その基準や条件を満たしていない「実際の自分(心=身体)」を嫌悪してしまっている事を言う。


そのために、
普段はコントロールされる側の「心=身体」は持続的にかなりの無理を強いられている。


そして、その無理が、ある一定以上蓄積されると、
自傷や過食の衝動が突き上げてくるようになってくる。








まさに「過剰なコントロール願望」が叶わなくて発生する「ストレス」によって
摂食障害は呼び起こされているのだ。



過食・嘔吐という不健全な解消法であっても、
それなしではバランスが取れない状態に追い込まれてしまうのだ。



















努力で全てをコントロールできると思っている人に






「理想像はあくまで目標点であって、
目指す場所だけど達成できるかどうかは分からない」

という灰色ゾーンは受け容れられないだろう。




だけど摂食障害者についていえば、
「理想はあくまで理想である、という事を
自分の中で折り合いをつけて
”自分を生きる”って言うのは
回復に向けて極めて重要な認知の改善だと思う。


理想像にこだわり続ける人の悩みを解決する一つの方法になると思う。














実は、理想を捨てきれない人は
「現在を生きていない人」なのだ。







理想像に縛られて生きるのは
目の前の現実から目をそらして、
予行練習の人生を送っているから。





未来が不安なのは今を生きていないから。
痩せていれば、痩せれば、というのは
過去や未来を見ていて、現在を生きていない。


今を生きていない人間には過去も未来も無い。




だとすると、
現実をしっかり踏みしめて生きていくのが良いのではないだろうか。











今ある自分で生きる。
弱点もダメさも認めて受け容れていく。




理想を捨てきれない自己愛が強い人間である事も
ストレスの解消が下手であることも全て受け容れていく。


そこから始めるのが最善であり唯一の方法なのだと思う。