発達障害を抱えて過ごす”生きづらさ”

発達障害から摂食障害へ、大きな流れ





発達障害の生きづらさ
アダルトチルドレンの生きづらさ




発達障害から派生する二次疾患が発生し生きづらさの強化。
それによってさらなる精神疾患が生まれ、生きづらくなる





生きづらさの累積で摂食障害に辿り着く。
摂食障害という疾患ではなく
発達障害と二次疾患とで蓄積された、
どうしようもないストレスを発散する手段、つまり「症状」として
”食べて吐く”という手段が生まれてくる





















発達障害の生きづらさ概要




思春期には自我感情が芽生えてきます。
そのような時期、ADHDの子どもは、ほかの子どもが年齢相応にできることが自分にできないことに気づき、葛藤し続けているはずです。




この時期に、強い反発・反抗心が育ち、
自尊感情が傷つけられると、
ADHDの行動特性としての衝動性が強くなり
「反抗挑戦性障害」や「行為障害」などの二次障害に発展しやすいと考えられます。








また、自尊感情の低下が進むと抑うつ状態になったり、
不安神経症になったりするなど、
心の内側に向かう問題を抱えやすくなってきます。







本当は、「デキの悪い子」ではなく、
ADHDという疾患を持った子」なんだ、という風に
回りの大人たちが気づいてあげて、
サポートしてあげられれば、そこまで強烈なストレスを
蓄積させなくても済むかもしれないのだが、
現実には「落ち着きの無い子、空気が読めない子」くらいにしか映らずに
見過ごしてしまう
ケースが多い。









ADHDの子どもが親から体罰や虐待を受けやすい原因として、一つには
普通の子どもに見えるのに普通の事ができないせいで、責められやすいから、という事もある。



だから、生きづらさから来るストレスはさらに蓄積されていくし
大人になるまで、ものすごい努力で生きづらさをカバーしようとして
疲弊しきってしまい、心身症に罹患してしまうケースも多いだろう。









実際、ADHDの症状に対して不適切な対応を受け続けると、
反抗・非行という外向的な行為障害や
抑うつ・不安神経症という内向的な精神障害が起こり得る可能性が高い。




どちらか一方だけであったり、
両者が混在したりする事もある。


そして、
抑えきれない衝動や感じたくない不安を解消する手段として
アルコールや薬物の乱用、過食嘔吐自傷行為などの心配も。









また、ADHDの人で人間関係を保つ上での基本的なルールが理解できていない場合や、相手の気持ちを理解しにくい場合には、自分の欲求のおもむくままに不適切な行動してしまう。



そういう子はどうしても浮いてしまい、周りとの調和に失敗しがち。










そして、「うまくいかない気分」を晴らすために
「行動化」が繰り返される
ことが珍しくない。










要約すると



「幼い頃から抱える発達障害の特性から派生する、
 溜まりに溜まったストレスに対応して自分を保つための
 苦肉の策として、ある者がギャンブルに依存していくように
 ある者は摂食障害という食べ物に依存する事で
 ガス抜きをして心のバランスを取ろうとするのである」


という事になる。




















そして、発達障害の核となる特性は
脳機能の障害である。


脳機能の障害によって、生きづらさが蓄積される土台が構築
されてしまうと言ってもいいだろう。






脳機能の障害によって起きてしまう事を
簡単にまとめてみた。



















過食嘔吐へと向かわせる発達障害の特性→脳機能の障害、
 そして過食嘔吐







:脳機能の障害からの衝動、そして過食嘔吐





脳内物質の分泌が脳機能障害によって足りないから
刺激物、依存物で自分を確認しようとする。



その一つの選択肢が食べ物であり
嘔吐なのである。








いわば、脳の覚醒レベルを上げるためのセルフメディケーションとして
リストカット過食嘔吐などの”刺激”によって得られる興奮を
利用しやすい傾向にあるのだ。







普段、覚醒レベルが低いからこそ、
スリルや危険が脳を興奮させて集中力を高める働きをする効用を求め、
あえて過度な刺激を求めるのかもしれない。















セロトニンについて






ADHDの特性として衝動性がある。
思いつきや衝動を抑制する力が弱い傾向がある。


これは行動にブレーキをかける脳内のセロトニンの分泌が弱いため。





セロトニンは衝動を抑制し、
気分を落ち着かせる精神作用を持つものとして
知られています。


よって、セロトニンの分泌不足により、
ADHDの人は衝動の制御機能が弱くなっているのだといえます。




ADHDの人が依存症になりやすいのは
このように衝動を抑制するのが困難である事も原因の一つなのです。






ちょっとマズいかなぁと思っても
一度体験した快楽(脳が感じる報酬の多さ)への渇望が制御できずに
危険を伴うと分かっていても、それを止めることができないのだ。


















ドーパミンについて





ADHDの人は脳の「報酬系」の未熟さを抱えている。
ドーパミンを分泌させる「A−10」神経系が
うまく働いていないことにより、いわば脳の快感が欠乏状態にある。


ちょうど一般の人が感じているドーパミン
半分くらいしか感じる事が出来ないらしい。







そのため、脳の半分が寝てるような状態を抱えている場面が多い。



脳が眠っていては世界がオボロゲになるし、
何より自分が”ココ”にいることが不安になってしまう。



つまりADHDの人は、自分で自分を感じる力が弱いのだ。



だから、
自分を感じれるような刺激を与えてくれるもの、
刺激の強い依存物にハマりやすい
のだ。



常に刺激がないと自分が不安なのだ。








刺激という意味では
過食嘔吐という手段は極めて有用な手段になる。





攻撃のエネルギーが内側に向かうタイプの人にとって
リストカットと並び「自分が居ない、感じられない」という
不全感を振り払うには最高の刺激だし刹那的だけど満たされた感覚を得られる。






「ココにいる!」っていう漢字を自分の真ん中で確かに感じられる瞬間を
得るには充分な刺激になるだろう。








あるいは、
過食嘔吐は自分の中に溜まった生きづらさを
”リセット”するという意味もあるだろう。


言葉にしたり運動をしたりという方法では
解消できなかったり、そんな事をする気力も無かったりする場合には
食べ吐きはとても有用性があるだろう。


つまり、過食嘔吐という刺激を得る事で自分を支えているという
セルフ・メディケーションの意味合いもあるのだ。











あと、これは僕だけなんかもしれないが




休むと不安になる。
何かをしなければならない。
無意味な事はしてはいけない。




という強迫観念を抱えているのも、
もマジメというよりは
常に自分に刺激を与え続けないと
自分の存在が不安になるって分かっているから、
必死で自分を動かそうとしているのかもしれないと思った。









ADHDの人は
退屈、何もしない時間を嫌い、刺激を求めやすい。



退屈を嫌うというのは
集中できない自分、ココに居る事を感じにくい自分を
なんとか保つ為に脳を覚醒させておくために刺激を求めているという
事なのだ。



















:脳機能の障害による自己認識の苦手さ






ADHDの人たちは
自己認識(自分の事を正確に認識すること)が苦手です。


簡単に言うと、
自分が何を感じているのかを自分で把握しにくいのだ。



言い換えれば
自分の中で発生する感覚をうまくつかめないという
「感覚統治」がうまくいっていないのだ。







>>


人の行動は、全て脳によってコントロールされている。



脳が適切な命令を出すためには
身の回りに溢れる情報を取捨選択していく必要がある。



視覚・聴覚・触覚といった感覚を整理し
適切な行動へと導く脳の働きは「感覚統合」と呼ばれている。





ADHDで無い健常な人の場合、
脳フィルター機能によって、
周囲の様々な刺激に惑わされる事無く、
自分にとって関係のない刺激は排除して
特定の事柄だけに集中できるのです。







ADHDなどの発達障害の中には
感覚統合がうまくいっていないために
引き起こされていると考えられるストレスや二次障害がある。




>>



うまくいかないことで累積するストレスに
対処しきれずに健全でない形で暴れ出すのが
非行であり依存症であり自傷行為なのかもしれない…











感覚統合、つまり自分で自分をコントロールできない状態。





ADHDの人が依存症になりやすい一つの要因は
特性である衝動性や感情の不安定さを
自分でコントロールできないことが挙げられます。





ちょっとでも思い通りにならない事が起こると
すぐに感情的になってしまったり、暴力を振るってしまったりと、
やっちゃいけないと分かっていても
自分で自分を抑える事が出来ない。



そのため対人関係の不器用さで孤立し、
社会性の低さに落ち込み、
それにともなって自己評価と自尊心が低くなっているところに
もともとストレス耐性が低いのでストレス対処が間に合わない


そうした中でイライラ、うつうつとした気分になり、
どうしようもない感情が心で処理しきれなくなると、
何かに依存せざるをえない心理状態に陥っていく。






つまり、不安定な感情を和らげるため、そしてストレス解消の手段として、依存行為に手を出し、その効果が他では味わえないほどの報酬を与えてくれるので、刺激を求めて生きるADHDの人はハマってしまう傾向に強いのだ。















また感覚統治不全により衝動性が強い人は
生活の様々な場面で抑制が利かず
それが心身の健康にも影響を及ぼすこともある。




感覚統治が出来て居ないというのは、
自分で自分が何を感じているのかが
把握できていないという事でもある。







自分の状態、自分が何を感じているかというついて
頭と体が繋がっていないのだ。




だから、
自分の感情がどういうものなのかが分からない。
感じている感情の名前が分からない。



良い感情なのか悪い感情なのか、どう捉えて、
それに対処していけばいいのかわからない。







だけど、気づかない場所で
確実にダメージは蓄積されていく。


そしてダメージからのストレスが気づいたときには
不健全な方法で爆発せざるを負えない状況をかかえてしてしまうのだ。








たとえば、




毎日同じ時間に出勤できないって言うのも
自分が疲れているのか眠たいのかって言うのが分からなくて、なんとなくぼんやり起きていて結局夜更かしして朝起きれなかったり昼間の活動レベルが低い。



眠らなければならない時間帯に活動してしまいって生活リズムが乱れ、
過度の睡眠不足に。



自分の感覚を掴めていない。


疲れているなら寝ればいいのに大抵、
自分の疲労度が自分で分からない。
だから、限界まで起きていてしまう。












それから
満腹感とか満足感をしっかりと感じられないというのも
問題を引き起こしている。





幾ら食べても満足できない。
だから容量としての満腹を圧倒的に通り越して食べる。
自分で自分がわからないから制御できない。


だけど、太るのは嫌だ。
だから、拒食になったり嘔吐を身につけてしまう。





あとは、ストレスがどれくらいのレベルなのか分からないから
スギリギリの均衡を保ってきた心を発散させる事が出来ずに
対処しきれないストレスが衝動的に爆発してしまう。



衝動性が高い為に、刹那的で、先々を見通さずに判断し、
結果として生活を自分でコントロールできないのです。







そして、自分で自分を制御できない事に対する無力感や
失コントロール感によって強い抑うつ気分や自己嫌悪感を抱える。



それを刹那的に解消する為に過食を行います。



この過食で一時的には楽になるので、
ストレス発散を適切に行えないADHDの人は、この楽になる感覚に
ハマっていくのである。






自分で自分がわからずコントロールできない事で最もダメージを受けるのは誰からぬ本人の人生なのだ。














・まとめ






生きづらさは自分の脳の機能の問題だけど
自分のせいではない。

だから、犯人探しとか他責をするのをやめて、
その力を”今を生きる”に転換していく事。





また、「自分は劣っているダメ人間なんだ…」というのは
自分は我慢が足りない努力が足りないのではなく、
そういう特性というかハンデキャップがあるからなんだと認識すれば
少し楽になり罪悪感が消える




自分への罪悪感が薄らいだら、それだけで生きづらさも消失テイクと思う。






そして、最も大事なのは自分と現実から逃げないって事。






衝動性がある。


感情統制力が脆弱。


ハマりやすい。


対人関係が下手。


ストレスに弱い。


脳が喜びを感じにくい。








という事を自分に起きている現実なんだと受け容れて
そういう自分で、どう社会で生きていく道があるのかを模索する。











どんな人生にも悩みはつき物だ。
だとしたら、悩むなら生産的に悩みたい。




「なんでこんなに普通の人より思っているんだろ…」っていう悩みよりは
「この自分でどうやって生きていこうか」という過去の自分から解放された思考方法で悩んでいった方が良いのだと思う。




そして、摂食障害に根本にあるのは
生きづらさから来るストレスであり、
ストレスにより自尊心が低下している状態だという事を認識して、
摂食障害に繋がっているADHDの症状を
ちょっとでもストレスを感じないような生き方

考えていく必要があるのだと思う。







それはつまり、自分から逃げないって事、
現実を生きるって事なのだと思う。




痩せても誰かを責めても、現実は全く改善されない。
せいぜい憂さが晴れて、そのあとで自己嫌悪に陥るくらい。






それならば、苦しくとも現実を受け容れて生きようとしたほうが
豊かな日々になるような気がする。




ある一定の割合の悲劇が、あるいは家族環境の劣悪さ、によって
悲しい現実が降りかかってしまったのは、もう諦めるしかなくて、
じゃあ、そこからどうしようか?って思うしかないのだと思う。





過去でもなく未来でもなく、人間は今を生きるしかないのだから。















☆☆










参考文献




「空気が読めない」という病 大人の発達障害の真実 星野仁彦 KKベストセラーズ



依存症の真相 アダルトチルドレンADHDの二重奏 星野仁彦・夏目祭子 VOICE



それって、大人のADHDかもしれません 星野仁彦 アルコム



大丈夫!ADHDのすべてがわかる本 榊原洋一 小学館




大人のAD/HD (注意欠如・多動性障害) 田中康雄 監修 講談社


行為障害と非行のことが分かる本/小栗正幸/ 講談社