心の問題という観念に縛られていると、いつまでも治らない




摂食障害者が自尊心が低いっていのは間違いない。
ただ、「自尊心の低さが摂食障害を引き起こしている」
という定説化された言説には
待った!をかけた方いけない気がしている。











なぜなら、摂食障害を生み出す直接の原因は
ダイエット以外に考えられないという信念があるからだ。




根底には自尊心の低さがあって、
自尊心を低くさせる何かが存在するのかも知れない。




しかし、ダイエットを経由して満腹中枢の異常が起こらない限り、
摂食障害にはならないのではないか?という実感がある。




それは、食べる事を拒否したり食べても吐いたりする事によって
満腹も空腹も分からなくなり、
さらに過食や拒食を加速されるからだ。




そして、その加速を生み出す元がダイエットだ。



過剰なダイエットに依存する事が
摂食障害を生み出している。









摂食障害を生み出すほどのダイエットは
もはや依存症と呼べるのではないだろうか。











下記は薬物依存症の構造の説明だ

「誰しも薬物依存症になりたくてなるひとはいないでしょう。
 にもかからず、薬物がもたらす強い快楽を一度味わってしまうと、
 それをもう一度味わいたいという
 逆らい難い欲求を抑えられなくなります」


「精神的苦痛から逃れて快楽を追い求める強い欲望が人間にある限り、
 そしてまた、そうした「欲望」を満たす手段が用意に入手できる限り、
 薬物に頼ろうとする人たちを押し留めることは
 できないのではないでしょう」

ダイエットにも似たような依存性があるような気がする。


ダイエットにも痩せた事の快感を忘れられずに
のめりこんでいってしまい、やがて摂食障害に辿り着く、
という依存症としての一面が。



もしも、依存症はふとしたことをキッカケに始まる場合があるとしたら
摂食障害に言われがちな「心の問題」っていうのは
必ずしも関連しているとは言えないのではないだろうか。














■何が原因であろうとダイエットの存在無しでは
 摂食障害は語れない







鏡をみて自分の体型の醜さに驚きダイエットを
始めたのがきっかけかなー(>_<)
後はもうなにもかもがどうでもよくなってきて…

摂食障害は痩せたい病気だと言われている。
食べたり吐いたりするし、過食だったり嘔吐だったりという
行動が印象的なので、てっきり、食べ物に依存しているように感じてしまうが実は根本にあるのは痩せたい病。


痩せたい願望が摂食障害を生んでいる。





上記はAさん(主婦/30代後半/過食・嘔吐/約7年)
の発言である。








彼女は摂食障害のきっかけを「ダイエット」と言っている。


ここに摂食障害
読み解くヒントがあるような気がしている。




他の人の例を見ても恐らく同じだろうけれど
きっかけは「絶対にダイエット」だ。






心の問題が摂食障害の原因なのかもしれない。
ただ、心の問題がそのまま摂食障害を生んでいるわけではない




原因→きっかけ→結果



というように、病気に至るまでには
きっかけという媒体が存在している。


そして、これを摂食障害に当てはめてみると…




心の問題→ダイエット→摂食障害



ということが分かる。









そしてそれは、
心の問題が直接的に
摂食障害を引き起こしているわけではないと言う事だ。




ダイエットという直接の原因があるからこそ。
心の問題がある人が全て摂食障害になっていないのだ。


これは大切な視点だと思う。

















そもそも心に傷つきや問題を抱えていない人など居ない。
それぞれが、それぞれのレベルの悩みを抱えているはずだ。

それでも
心に問題や未消化なものを抱えている人々が
全て摂食障害になるわけではない。



分かれ目は何かって言うと、ダイエット
過剰で身体に対する虐待的なダイエットだ。











だからダイエットにアプローチしていけばいいのでは。
ダイエットから派生する問題から解決していけば解決が見るかもしれないという理論だ。




心が解決しなくても少なくとも日常を苦しめる過食行動は緩和するかもしれない。








心の傷とか生育環境とか
どんな原因があったとしてもキッカケにあったとしても
ダイエットという過程がなければ摂食障害は生まれない。




食べないで痩せようとする
身体の栄養不足、飢餓状態が脳を壊す
脳の満腹中枢が壊れて食行動がおかしくなる。

ダイエットのキッカケには心の問題があったかもしれない。
ただ、摂食障害を直接生み出しているのは
心の問題じゃなくてダイエっトであり満腹中枢の崩壊だ。




心の問題→摂食障害




ではなく




心の問題→ダイエット→食行動の乱れ→乱れの定着→摂食障害



という流れが正しい。





痩せようとするダイエットの反動として
過食が起こっている。







無茶なダイエットで失敗が続くと
痩せたいのに痩せられない自分を責め、罪悪感を覚えます。
それがひどくなると今度はストレスのコントロールがきかなくなり、
その反動でやけ食いをしてしまう。
これは生きていこうとする人間の当たり前の機能だ。



それをさらに抑えようとするところに
摂食障害の種がある。




普通に食事をしていた人々が、
何らかのきっかけでダイエットをはじめ、
ダイエットを続ける過程で痩せたいキモチがどんどん膨らませているのだ。





















そう考えると、自尊心の低下が摂食障害を生むという定説にも
待ったをかけることができる。










ふとしたキッカケでダイエットをする。
体重が減っていくという快感。
痩せるという社会的に認められるであろう要素を遂行できている自分。
に快感を覚える。



自尊心が低くなくても、強烈な痩せ願望がなくても
ダイエットが良い事とされている社会においては
誰しもダイエットを気軽な気持ちに取り組むことがあるだろう。



それでも、ダイエットが成功した快感を一度味わったら
その快感を求めてしまう。
痩せるという快感を求める事はやせ願望に繋がる。







こう考えていくと強烈な痩せ願望というのは最初からあるんじゃなくて
ダイエットを一度成功してしまったあとに起こっていくのではないだろうか。

自尊心とか強烈な痩せ願望関係無しに。


しかし
拒食にしろ過食・嘔吐にしろ摂食障害者は自尊心が低いのは事実だ。


そのカラクリはこうだ。



痩せる事はそう長くは続かない。
順調に減らせる時期は限られている。
痩せられない自分にイラだつ。
食欲の反逆を抑えきれない自分に苛立つ。
吐いている自分にイラだつし、
吐いているのに思いどおりに痩せていない自分にいらだつ。




どう言う事が起きているのかという、
ダイエットに取り組もう、痩せる前から自尊心が低いのではなく、
ダイエットをしている最中にうまく痩せられない自分がいるから
自尊心が下がっていくのである。














■まとめ



心の問題と食行動の異常は別の対策が必要だと考えていったほうが
人間という生き物を考えたときに正しい考え方のような気がする。






心の病という知識があるからこそ、
原因を心に求めてしまって、
心の問題が解決しないと拒食過食がなくならないと思っている。


この定着化しつつある摂食障害の知識こそが
完治への最大の敵なのではないか










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